Tricker’sのバートンに取れ難いハーフソールを装着します。

通販で球数が少なくなってきたトリッカーズM2508革底タイプにハーフソールを装着をするご依頼です。

Tricker’sにハーフソールを施すのは、絶対にすべき行為です。また、ハーフソールの貼り方によって大きな差が生じます。

1.今回は、長く持ちがいいハーフソールとはどういうものかご紹介していきます。

 2,500円~となます。

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2.ハーフソールを貼る部分の靴底を削ります。新品の靴に少し残酷なように感じますが、人間界では予防接種とお考えください。このように革の銀面を削らないと接着しません。この深く沈んだダシ縫いの糸は、トリッーカズの特徴です。

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3.オールLEATHERで作られているTricker’sです。接着剤の塗り方を軽くみてはいけません。革の削られた方向を見ながら縦横に均等に塗布していきます。革は一度接着剤を塗ると吸収して、数分するとあの塗った接着剤はどこにいったのか不思議にかられます。当店では、粘着剤を2タイプに分けて1回目は粘度を薄くした接着剤で均等に塗布します。それはなぜか?。刷毛で接着剤を均等に塗ったように見えても、水が表面張力を持つように、接着剤を玉になり均等差がでてしまいます。ですから、1回目は粘度を薄くした接着剤を使います。

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4.貼りあわせのタイミングが難しいのです。接着剤は溶剤で希釈されております。溶剤をしっかり飛ばさないと納豆の糸引き状態で貼りついてしまい強度がでません。また、溶剤を飛ばしすぎると接着力が無くなり、これも強度がでません。最高のタック性能が出る時点においての装着を手でさわり、タイミングをうかがいます。こういうこだわりは、接着剤を非常に理解した者でないとわからないかもしれません。これで、ハーフソールの作業が2/3終わったことになります。余談になりますが、接着力には、ボールタック(縦の粘り力)、保持力(横の粘り力)、ループタック力(弾性力)を考えねばなりません。特に靴の修理のハーフソールを貼りつける場合、ループタック力に気をつかいます。

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5.ループタック力をUPさせるにはハーフソールの戻ろうとする弾性力を殺すことです。2㎜もの厚みがあるラバーの弾性力は相当なものです。そこでハーフソールに十分な熱を加え、ラバーを柔らかくし弾性力を殺し、貼り付けます。そして、最後のひと手間をかけ再度弾性力を殺します。これで靴に沿った形状で貼りつくことになります。

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Dr.リフレからひとこと。

ハーフソールを貼る目的は、靴を守ることと滑りを止めることにつきます。上記の工程を見て頂くとお解りに頂けると思いますが、早急な処理は無理が多く発生します。ハーフソールを貼り歩いていく内に、必ずつま先から剥がれてきます。接着は3D形状に弱いのです。例えばRedWingのソール貼り換え時において、接着が終わりすぐに側面仕上げの削りを入れると、削る振動によって、強く接着したと思っても剥がれてきます。ですから一日置いてから削るようにしております。うんちくが多くなりましたが、ハーフソールは絶対にすべき行為であり、信頼のできるお店を選びましょう。

 

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